結論から申し上げます。
なんと、埼玉県で「男はつらいよ」のロケが行われていました!
これまで、
・寅さんが行っていない県は3つある
・「男はつらいよ」のロケは、高知県、富山県、埼玉県の3つの県では行われていない
とされてきました。
その定説が変わるロケ地の発見です。
この画像を見て、どのシーンかすぐ分かる方は多くはいないと思います。
実は、この山々、雲海、雲海の下にある街が埼玉県なのです。
こちらが映る作品とは…。
それは、第14作「男はつらいよ 寅次郎子守唄」です。
そして、そのシーンとは…。
松竹映画の文字が消えて、本編が始まってすぐ。
「昔、ある村にな。とても働きものの夫婦がおった。正直者で人には親切で村じゅうで…」のナレーション(昔話風)で始まる寅さんの夢の中のシーンです。
本編の映像では、日の出前の山々の稜線、シルエット、そしてその山々の下には雲海が発生しています。
このシーンが撮影されたのは、埼玉県秩父市の美の山公園です。
このシーン、ワンカットのためだけに、埼玉県でロケが行われたのです。
この後、夢から覚めた寅さんが旅をするのは群馬県の妙義山一帯。
寅さんが山門でザクロを食べるシーンが撮影されたお寺を発見するなど、何度も訪問してきました。
そして、夢のシーンの雲海が発生した山々も山の形などがゴツゴツしているので、てっきり同じ群馬県の妙義山のあたりかなと思っていました。
そのロケ地が埼玉県秩父市のこの地であるとおおむね分かったのが去年の夏のこと。
ただこの間、新型コロナウィルスによる緊急事態宣言などが発出されており、現地への調査、訪問ができない状況が続きました。
この定説を覆す発見は、衝撃的な事実で長年、多くの方々が発言されてきたことを否定することにもなり、確かなことが分かるまでは発表することを控えてきました。
違っていた時の事も考えると寅友の皆さんにも言うことができません。
しかし今回、現地への調査、訪問を行い、ついに確証、確定することができました。
写真は、新型コロナウィルスの緊急事態宣言が解除されていた10月18日、雲海の発生を狙って早朝5時30分過ぎから撮影したものです。
撮影したのは、美の山公園の山頂展望台からです。
雲海と秩父の山々を撮影する有数の撮影スポットで知られるこの場所で、多くの写真愛好家、雲海の撮影をしている方々に混ざって、「男はつらいよ」のロケ地を撮影してきました。
そしてこの写真は、後日、本編アングル、高羽アングル、撮影のピンポイントで撮ったものです。
夕暮れの時間帯を狙って撮影しました。
撮影したのは、黒谷の展望所。
雲海は発生していませんが、これはこれで素晴らしい風景でした。
高羽アングル、撮影ピンポイントでの雲海発生時の撮影も可能であれば行きたいと思っています。
本編のパンが始まるところで映る横に広がる山、それは両神山(りょうかみさん)。
そしてパン途中に映る特徴的な山、それは二子山(ふたごやま)。
2つの山があるのは、埼玉県秩父。
実はこの2つの山、その見え方が埼玉県、秩父の美の山公園での撮影だということを発見するに至ったきっかけでした。
2つの山がこのように見えるのは埼玉県方向からしかない!と確信したのです。
しかしながら埼玉県ではロケはなかった、という定説があることから、確証を得るためにさらなる調査が必要でした。
そこに入ってきたのが雲海は埼玉県秩父市で発生するという情報。
いろいろ調べた結果、この美の山公園にたどり着いたのです。
緊急事態宣言も解除され、雲海が発生する10月~11月の期間、現地への調査、訪問を行おうとしていた最中、偶然にも寅友の方からのお誘いで、「ある場所」へ行くことになったのです。
もちろん一緒に行った寅友の方々は、私が心に留めていたこの埼玉県ロケ地の話は知りません。
たまたま偶然、時期が重なっただけです。
その訪れた「ある場所」で、このシーンが埼玉県秩父の美の山公園での撮影であるという一つの補強材料を得ることができたのです!
「ある場所」とは…。
会津磐梯山を望む福島県湯川村の湯川たから館。
「男はつらいよ」の撮影を務めた高羽哲夫さんの資料館です。
(近日アップの高羽哲夫の軌跡~湯川たから館~ に続く…)