2016年GWの旅は、会津、栃木、茨城を回った。
そのうち第36作のオープニングのロケ地である会津についてレポートしたい。
既に2年前のGWの旅で訪れ、大方のロケ地は解明、訪問していた。
その中で発見できていないロケ地の一つがこのシーンだった。
「名物ボータラ」と書かれた札とボータラが店頭軒先にかかっているお店、土産店の前を寅さんが歩くシーンである。
ヒントは左側に見える石塔。そして土産店だ。
この後のシーンは会津柳津町の円蔵寺の参道なので、ここも柳津かと思いきや前回この場所は発見することができなかった。
今回、事前調査でも柳津で見つけることができず、やむを得ず地元の観光課の方にメールで質問したところ柳津ではない、との回答をいただいた。(お忙しい中、ご協力ありがとうございました)
探索範囲を広げてみても発見できず、ロケ地の旅の日程が近づき焦る中、寅友である寅福さん、小手寅さん、彰さんに相談を持ちかけた。
心優しい友たちはPCを駆使して、いっしょにこのボータラ店を探すのを手伝ってくれたわけだが、それでもなかなか見つけることができなかった。
そしてついに会津入りの日を迎えた。
残念ながら今回はあきらめか・・・。
そんな時だった。
彰さんより発見の知らせが入ったのだ。
このボータラ店は柳津から離れた会津美里町、只見線の根岸駅そばにある弘安寺だというのだ。
本編にこの後登場する円蔵寺と同じく会津六詣出に数えられている中田観音と呼ばれる曹洞宗のお寺である。
そういえば、円蔵寺へ向かう道にもやたらと中田観音の案内看板を見かけた。
かなり有名なお寺なのだ。
4月29日。雨が上がった会津地方。
弘安寺に到着。
まぎれもなく本編と同じ風景である。
向こう側の土産店はカーテンが閉まっているが、寅さんが歩いた参道である。
それにしてもなぜワンカットだけ入っているのだろうか。
なぜこの場所だと分からないように編集されているのだろうか。
その謎を解くため、ボータラ店に入ってお話を聞いてみた。
(写真 左上)本編を別角度(中田観音側)から撮影。
寅さんは2つの土産店の間の道を歩いてきた。そして右側へ歩いて行った。
(写真 右上)ボータラがかかっていたお店・つるやさんの外観。
(写真 左下)弘安寺・中田観音の本堂。
(写真 右下)つるやさんの店内にあったボータラ。
そして、つるやさんの齋藤麗子さん(78歳)にお話を伺った。
かつて、つるやさんをはじめとする門前町は賑わっていたそうだ。
同じ福島県のいわきあたりから来られる中田観音の参拝客もつるやさんで宿泊されていた。だが高速道路ができて日帰りが可能になるのと同時に宿泊客も激減していったそうだ。
そして、この6月で2階の宿泊施設も閉館するとのことだ。
ボータラも現在は予約注文を受けて作るだけになっていて、店内には一つだけかかっていた。
ロケは寅さんが根岸駅方向から歩いてくるシーンも撮影していた、と齋藤さんはお話ししてくださった。根岸駅も「男はつらいよ」に出てくる雰囲気の駅で、第35作のオープニングの舞田駅に似ていた。
ロケの合間に渥美清さんはつるやさんのお茶の間で休憩されたそうだ。
今から31年前。
齋藤さんはその時のことをはっきり覚えていらっしゃった。
「渥美さんが座っていたのはそこよ」。
ちびとらも同じ場所に座らせていただいた。
47歳だった齋藤さんはお茶を入れたり、渥美さんといろいろなお話をしたそうだ。
「このロケ地のことをサイトで発表したら、それを見た誰かが来るかもしれません。その時はぜひまたお相手をしてくださいね」とお願いした。
「2階の旅館も閉めるし、ボータラももうほとんど作らないからね。いつまで続けられるか分からないから、そのことだけは書いておいてね」。
最後に齋藤さんにお願いして1枚写真を撮らせてもらった。
30年余の歳月を経て再現した第36作オープニングのワンシーンだ。
最後に。
写真は店内に1枚だけあったボータラを店頭軒先にかけて本編を再現させていただきました。
齋藤さん、どうもありがとうございました。
最後になりましたが、このロケ地に立つことにご協力いただいた寅友の皆さんに深く感謝いたします。
[ご協力いただいた皆さま]
彰さん
寅福さん
小手寅さん
今回の旅で第36作のオープニングは全て踏破するこができました。
詳しくはロケ地の旅のページをご覧ください。