「カバンがねえや」
夢から覚める寅さん。
カバンが無くなっていることに気づく。
吉井町春明の佐々川の近くにある馬頭観音。
この小さな祠の横で寅さんは寝ていた。
祠の横には、ロケがあったことを記した看板が立っていた。
長崎県佐世保市吉井町春明74
2017年4月訪問
「こら~!!」
泥棒に叫ぶ寅さん。
泥棒が逃げ出す。
泥棒が逃げて行った道の形状が同じ。
祠の位置は少し下がったと思われる。
バス停は本当にあったのだろうか。
「待て~!!カバン!!泥棒!!誰か止めてくれ~!!」
泥棒を追いかける寅さん。
本編に映る家は建て替わっている。
今回寅さんは、長崎県を3度も訪れることになる。
「なんで人の帽子とカバン持っていきやがんだよ」
泥棒に追いつき帽子とカバンを取り返す寅さん。
泥棒が再び逃げ出す。
畑に下りる石垣が土台となっている道が残っている。
実は泥棒は祠にいた寅さんに発見された時よりも後退して寅さんの方に近づいている。
見つかって、いったん寅さんの方に戻ったのだろうか…。
とらやに下宿する電気工事の会社で働くワット君の事でひと騒動。寅さんとワット君が意気投合。酒を交わしてとらやに2人で戻った翌朝。
街角の電柱で電気工事が行われている。
大船撮影所から近い場所。
大船にも関わらず、ワット君が工事している電柱になぜか柴又の文字…。
鎌倉市岩瀬1-17-28
2021年12月訪問
ワット君が「これ傾いてんじゃないかな」と言いながら電柱に上って工事をしている。
ワット君が上がっていた電柱、三角型に立つ電柱はなくなっていた。
ロングショットで映るその奥のアパートの場所には違う建物を工事中だった。
このロケ地は寅友・寅福さんが長年にわたる執念の探索で発見した。
【参考】
2020年10月
グーグル・ストリートビュー
ワット君が工事していた電柱はないが、その奥の三角型に立つ電柱とアパートがまだある。
「可愛い娘さんのいる店で食事してきます」
「かと言って若い娘の作る飯に美味いものなんかないしな~」
一方、昼頃まで寝ていた寅さん。
おばちゃんに小言を言われて、帝釈天の参道をぶらぶらする。
かなり柴又駅に近い帝釈天王安置の碑のあたり。
東京都葛飾区柴又7-3付近
2019年5月訪問
「ま、ここにするか」
ふるさと亭に入っていく寅さん。
かなん亭。
残念ながら、2019年5月に閉店した。
柴又に行くと良く食事をしたお店。
閉店と聞き、急いで撮影に伺った。
喫茶室ルノワールの横でバイをする寅さん。
大船駅そばの商店街、大船商栄会。
高羽アングルでの撮影は困難だったので一脚で動画撮影した。
前作でもこのすぐそばで寅さんはバイをしていた。その時は柴又花火大会のポスターが貼ってあったが…。
「今日は暖かい日曜日。幾百組、幾千組のアベックが手に手を取っていそいそと歩いているが…」
良介と幸子がデートをしている一方、易断本のバイをしている寅さん。
寅さんがバイをしていたのはカラオケ店の看板の前。
東京都鎌倉市大船1-7-5
2021年12月訪問
ボート乗り場。
上野公園不忍池のボートのりば。
ロケ当時の手漕ぎボートと変わって、スワンボートになっている。
東京都台東区上野公園2−1
2022年1月訪問
良介と幸子が歩く。
2人が歩いているのは、ボートのりばの建物の横。
ボートのりばの右側には、寅さんが第13作、24作でバイをした辯天堂がある。
良介と幸子が話す。
2人が話したのは、ボートのりばの端の大体このあたりだと思われる。
良介は寅さんのコーチを参考に、映画(おかしい映画→ホラー映画)を観て、食事(レストラン→食堂)をするが散々な目にあう。
ところで、この映画だが山田組スタッフがオリジナルで撮影、制作したそうだ。
(※参考:佐藤利明著「みんなの寅さん」)
良介と幸子が話しながら歩く。
幸子が「泣くのをやめたの」と語る。
不忍池の対岸に東天紅が見えるので、2人はこのあたりを歩いていた。
良介がお菓子と飲み物を買ってくる。
2人の後ろには遊具があるので、大体このあたりだと思われる。
東京都台東区上野公園2
2022年1月訪問
良介と幸子がベンチに座って話す。
良介が告白しようとして、結局言い出せなかったベンチ。
ロケ当時から位置は多少変わった可能性はあるが、ほぼ同じ場所にベンチがある。
不忍池のほとりもだいぶ変わり、本編のように子どもが池に近づいて遊ぶことはできないように柵ができている。
失恋したと勘違いした良介が自殺を図ったが誤ってとらやの2階が大爆発。
落ち込んだ良介が帰郷、寅さんも後を追うように旅に出る。
舞台は九州・平戸へ。
寅さんが連絡船に乗って平戸に向かう前にこの俯瞰映像が映し出される。
佐世保市の冷水峠から本編とほぼ同アングルを撮影することができた。
ピンポイントからは多少のずれがあるかもしれないが、あたりは木々が生い茂りなかなか撮影が難しかった。
この手前の小さな島々のある湾は、平戸島とは海を挟んだ九十九島だ。
海の向こうの遠くに見えるのが平戸島。
長崎県佐世保市小佐々町矢岳1618-12
2016年8月訪問
祭が行われている神社の遠景。
寅さんが連絡船でやってきたのは、平戸の北にある田助という町。
バイをしたのは濱尾宮(浜尾神社)。
本編にも映る濱尾宮の左にあるのは山内造船。
長崎県平戸市田助町128
2016年8月訪問
寅さんがバイをする。
海沿いにある濵尾宮(浜尾神社)は一見の価値がある。
護岸工事が行われており、周辺の建物もかなり建て替わっているが、ロケ当時の雰囲気を残している。
長崎県平戸市田助町128
2009年8月訪問
「さあ手に取ってみてちょうだい」
寅さんのバイの声が聞こえてくる。
7年ぶりに訪れた今回、本編アングルで再撮影した。
7年前、ちびとらは車中で寝ていたのだ。
長崎県平戸市田助町128
2016年8月訪問
「浅野内匠頭じゃないけど腹切ったつもりで負けちゃう」と寅さんの威勢の良い啖呵バイの声がする。
ロケが行われた1977年春に平戸大橋が開通し平戸島は本土と結ばれた。
ただ本編では、寅さんは船に乗ってここ田助町の濵尾宮にやって来る。
長崎県平戸市田助町128
2009年8月訪問
このカットも7年ぶりに再訪して再撮影した。
本編に映っている鉄塔はなくなった。
長崎県平戸市田助町128
2016年8月訪問
「ものの始まりが一ならば、国の始まりは大和の国」。寅さんがバイをしている。
寅さんがバイをしていたのは鳥居の左脇。
このアングルで見ると、濵尾宮が田助漁港を守る大切な存在であることが分かる。
長崎県平戸市田助町128
2009年8月訪問
寅さんの口上。
このカットも再撮影した。
ちびとらが立っているあたりが寅さんがバイをしていた場所。
長崎県平戸市田助町128
2016年8月訪問
軽快な口上でバイをする寅さん。
寅さんの後ろには田助漁港の街並み。
長崎県平戸市田助町128
2016年8月訪問
濵尾宮の鳥居。しっかりと読める。
寅さんはこの後、平戸大橋を使わず、連絡船で平戸に入る。
つまり濵尾宮は本土という設定なのだろうが、実際は平戸島にあった。既に平戸島入りしていたのだ。こういうのは良くあること。
長崎県平戸市田助町128
2009年8月訪問
良介が釣りをしている。
平戸の海岸線にある常灯の鼻。
寅さんは田助でのバイを終え連絡船で平戸にやって来た。
撮影していた時、ちょうど向こうから船がやって来た。寅さんが乗っていそうだと喜んだ。
長崎県平戸市大久保町2477
2016年8月訪問
「おーい、失恋青年~。お前まだ生きていたのか~」。
連絡船から良介に呼びかける寅さん。
対岸の丘の上には平戸城。
この常灯の鼻はかつてのオランダ商館の前にあるが、灯台のようなものがあり夜の航行の目印となっていたそうだ。
長崎県平戸市大久保町2477
2016年8月訪問
「お前のことが心配だからはるばる東京からやって来たんだよ~」。
カメラはそのままパンして平戸港を映す。
画像で船の左端にある白い建物は、ロケ当時のままにある平戸海上保安署。
長崎県平戸市大久保町2477
2016年8月訪問
寅さんを乗せた連絡船が平戸港へ。
松浦資料博物館敷地が本編アングルポイント。
対岸には本編にも映る平戸市役所やNTTのアンテナなどが見える。
手前右側の白いビルは当時のままだが、かなり周辺の建物は変わっている。
長崎県平戸市鏡町12
2016年8月訪問
「お前の元気な姿を見ればもう用事済んだようなもんだよ」と寅さんが良介と会って帰ろうとする。
平戸港ターミナルビルの前。平戸駅の標記がある。
現在は建て替えられてこのビルはなくなっているそうだ。
長崎県平戸市崎方町776-6
2009年8月訪問
寅さんと良介が港から歩く道。
ブリジストンの看板が出ていた坂本自転車店の前。手前の米店は建て替えられていた。
※本編・高羽アングルより広い画になっています。
長崎県平戸市崎方町770
2009年8月訪問
寅さんが良介に案内されて家に着く。
おみやげ店おたち。
店の前の道路は拡張されていた。
※本編・高羽アングルとは異なります。
長崎県平戸市崎方町761
2009年8月訪問
寅さんが自転車をこぐ。
幸橋、通称オランダ橋から新幸橋を渡る寅さんを撮影している。
周辺の建物はほとんどが建て替えられていた。
長崎県平戸市岩の上町15付近
2009年8月訪問
寅さんと藤子が教会からの帰り道を歩く。
寺院と教会の見える風景として知られる平戸の代表的スポット。
平戸ザビエル記念教会と光明寺、瑞雲寺が一つの画におさまる。
長崎県平戸市宮の町636付近
2009年8月訪問
「ご馳走さんよ」
日の丸国旗が掲げられている家から出てくる寅さん。
柚子町の民家でのロケ。
オープニングでも寅さんは佐世保市の田舎道を旅しているが、最後にも佐世保市へやって来ている。
長崎県佐世保市柚木町2497
2016年8月訪問
家からの坂道を下りてくる寅さん。
手には柿を持っている。
こちらの民家はロケ当時と変わっていなかった。ロケのお話をしたところ、いろいろと教えていただいた。
坂の下にある子育て地蔵尊に柿を奉納する寅さん。
お地蔵さんは無く、ロケ当時はあったのだろうか…。
右側の建物の土台は補強されていたが、構造はロケ当時と変わっていない。
何やら宣伝の音が聞こえてきて気づく寅さん。
坂東鶴八郎一座のトラックがやって来る。
トラックが走っているのは県道53号線。
東から西方向へ向かっている。
「よう!あんた達か!」
荷台にいた大空小百合が寅さんに気づいて「先生!車先生!」と呼び、車が停まる。
寅さんと坂東鶴八郎は1年前にも長野県上田市でばったり出会っている。
その時は寅さんが芝居の時にご贔屓の客として紹介され、良い気分になった寅さんが大宴会を催し無銭飲食で警察署にこう留されてしまった…。
「街まで。あ、そうか。これに乗せてってもらおうか」
大空小百合が「先生、これからどちらまで?」と聞き、寅さんが車に乗せてもらう。
第8作のラストシーン、山梨県大泉と設定が似ている。
寅さんと坂東鶴八郎一座を乗せた車が走っていく。
終。
車が向かっているのは佐世保の街や松浦鉄道が走っている方向。
今晩の公演はどこなのか。
寅さんは1年前の出来事を反省して、できる範囲でおもてなしをしたのだろうか…。